2021-09-07
一般に病気のかかりやすさは、個人の遺伝的背景と環境要因に左右されます。体に異変を起こす要因をストレッサーと考えるなら、遺伝的要因は内因性ストレッサーで、環境で生じるものは、外因性のストレッサーです。内因性のストレッサーに対しては、対処のしようがありませんが(一部の遺伝子治療を除いて)、外因性ストレッサーに対しては、対処することが可能です。外因性のストレッサーに対する反応を和らげて、病気の発症(再発)を防ぐのが、自律神経の役割です。自律神経が安定していると、交感神経刺激によって増える少量のアドレナリンと副交感神経刺激によって増えるアセチルコリンは、共に、知覚神経を刺激してIGF-1を増やします。当クリニックで行っている、知覚神経刺激は、IGF-1を増やすと同時に、副交感神経の活性を高めます(アセチルコリンを増やす)。円形脱毛症を再発させる薬は、共通して、抗アセチルコリン作用を持っており、この作用で、自律神経のバランスを、交感神経優位にしてしまいます。この結果、大量に放出されるアドレナリンが、知覚神経の働きを阻害して、IGF-1が減って、円形脱毛症が再発します。薬に限らず、自律神経のリズムを乱す生活習慣、例えば、睡眠時間の短縮などで、交感神経優位になってしまうと円形脱毛症が再発します。関西地方在住の20代の女性患者様は、風邪薬で円形脱毛症が再発し、その後の脱毛薬の服用で、重症の蛇行性脱毛にまで悪化しました(写真、治療前)。皮膚科治療で治らず、当クリニックに来院され、IGF-1を増やす治療で、順調に改善し(写真、治療1年後、3年2ヵ月後)、もう少しで治癒というところでしたが、夏の休暇で、睡眠時間が減ってしまい、治療3年2ヵ月後に、新たな脱毛斑ができました(写真、青い円内)。円形脱毛症が完治すれば、これは自律神経が安定化している証拠なので、その後は、多少のストレッサーが加わっても、再発しなくなります。治癒から完治まで油断せずに、知覚神経刺激を続ける(サプリメントやセファランチンの飲み忘れをなくす)、副交感神経の働きを抑える脱毛薬を使用しない、そして、十分な睡眠などの規則正しい生活で、交感神経を優位にしないなどの工夫が重要です。