2025-08-26
40代の女性患者さんは、当クリニックに来院する10年前に円形脱毛症を発症しました。名古屋市内の某国立大学医学部附属病院の皮膚科で治療を受けましたが、結局治らず、当クリニックに来院されました。IGF-1を増やす治療を開始して、改善してきましたが、さらなる改善を期待して、高カカオチョコを食べてもらいました。カカオ72%20g/日、72%10g、86%10g/日、さらに86%20g/日でも、明らかな併用効果はありませんでした。そこで、86%10g、95%20g/日で、やや改善、そして95%20g/日で明らかに改善しました(写真)。元々高血圧でしたが、95%20g/日摂取で、血圧も下がってきました(図)。そして、患者さんが、最も気にされていたのが、95%20g/日摂取にしてから、夕方に、腕の一部分に蕁麻疹が出始めたことでした。これは、すぐに引っ込んで、特に問題はなかったのですが、なぜ、蕁麻疹が出始めたのでしょうか?蕁麻疹は、ヒスタミンと呼ばれる血管に作用する物質が体内で増えて起こります。すなわち、ヒスタミンにより、血管が拡張するための発赤、血管透過性が亢進するための局所の浮腫、さらにヒスタミンによる知覚神経刺激によるかゆみが起こります。一般に、アレルゲンによる蕁麻疹では、アレルゲンと抗体が結合したものが白血球の一種である肥満細胞に作用して、大量にヒスタミンの放出をひき起こし、全身に蕁麻疹が出来ます。肥満細胞以外に、知覚神経も、刺激されるとヒスタミンを放出します。カカオポリフェノールは、知覚神経を敏感にして、IGF-1を増やしますが、この時に、ヒスタミンの放出も増加させ、軽い蕁麻疹を引き起こしたと思われます。しかし、IGF-1も増えているので、円形脱毛症も高血圧も改善しています。患者さんには、軽い蕁麻疹で、これが起こる機序もお話し、気にしないように、高カカオチョコを食べ続けてもらうようにお話しました。こんな時に、皮膚科に駆け込んだら、抗ヒスタミン剤を出されて、取返しのつかない脱毛が起こったでしょう。このような危惧からも、円形脱毛症になったら、皮膚科に行ってはいけない。治らないどころか、悪化するだけです。