2022-09-10
東京都在住の40代の女性患者さんは、10歳で円形脱毛症を発症しました。その後、皮膚科治療が無効で放置していましたが、当クリニックに来院される9年前に悪化しました。そして、美容クリニックで、幹細胞培養上清液を、おなかの皮下に注射するという、ありきたりの美容施術を受けました。幹細胞は、自らIGF-1を作って、自らに作用させて、増殖・分化していきますので、この培養液中には、おそらくIGF-1が入っています。しかし、投与しても、円形脱毛症を治すほどの効果はありません。困り果てて、当クリニックに来院されました。重症の蛇行性脱毛にまで、悪化していました。カプサイシンとイソフラボン、大量のセファランチンで、IGF-1を増やす治療を開始すると、17日後には、白い産毛が広い範囲に生えてきました(写真)。ご本人は、少し生えていた白い産毛が伸びてきたと思っておられたようですが、写真にあるように、新たに多くの白い産毛が生えてきていました。白髪は、自己免疫の攻撃を免れるので、重症の円形脱毛症では、IGF-1が増えて、自己免疫が抑制されると、白い産毛から生えてくることがあります。さらに治療を続けると、次に黒い産毛が生えて、最終的に、白い毛も黒くなり、治癒します。現状では、重症円形脱毛症を改善する治療は、知覚神経を刺激して、体内のIGF-1を増やす治療しかないでしょう。そういえば、やはりIGF-1を作って組織を再生するiPS細胞は、長く臨床応用されませんね。一時は、脱毛症の改善にも応用されるであろうと騒がれました。しかし、これだけの巨額の研究費を使っても、どの分野への応用は無理なようですね。