2021-08-07
20代の男性患者様は、小学校2年で、円形脱毛症を発症し、その後、同じ病院の皮膚科でずっと治療を受けていましたが、全く治らず、重症の蛇行性脱毛にまで悪化しました。当クリニックを受診され、カプサイシンなどのサプリメントとセファランチンで、IGF-1を増やす治療を開始すると、セファランチンを150mg/日に増やしてから、大量の毛の生え変わりが起こりましたが、同時に前頭部に白と黒の産毛が生えてきました(写真)。これは、治療前にあった、傷んだ毛が抜けて、新しい産毛に生え変わるために起こったものです。なぜ、IGF-1を増やす治療を開始すると、毛の生え変わりが起こることがあるのでしょうか?毛(毛根)は、伸び続ける成長期、成長を止める退行期、そして毛が抜けて、一方では、新しい毛が出来てくる休止期の、どれかの時期にあります。正常では、頭髪の約90%が成長期にあり、その長さは2~6年、そして、頭髪の3%が、退行期にあり、その期間は2~3週間、そして頭髪の10~15%が、休止期にあり、その長さは100日程度です。脱毛症では、成長期が短縮し、退行期と休止期が延長するので、早く毛が抜けるが、その後の産毛が生えてこないので薄毛になります。IGF-1は、成長期を延長し、退行期と休止期を短縮させます。脱毛症では、退行期と休止期にある毛根が多いので、IGF-1が増えてきて、退行期が短縮するので、退行期の伸びない毛が、休止期に入ってしまい、抜けてしまうのです。一方、休止期にあった毛根は、IGF-1の作用により、成長期に移行するので、産毛が生えてきます。このような状態が、傷んだ毛(すなわち、退行期にある毛)が抜けて、新しい産毛が生えてくる、毛の生え変わりの状態です。重症の脱毛症では、IGF-1による成長期の延長に時間がかかるために、傷んだ毛が抜けても、産毛が生えてくるまでに、時間がかかることがあります。いずれにせよ、治療を開始して、抜け毛が増えること、すなわち、毛の生え変わりが起こることは、すでに、治療効果の表れの一つですので、心配いりません。