2021-07-31
50代の男性患者様は、円形脱毛症の家族歴はありませんでしたが、家庭内のストレス、そして、耳鼻科から処方された脱毛薬(モンテルカスト、ビラノア)により、当クリニックに来院される2ヵ月前に円形脱毛症を発症しました。1ヵ月間だけ皮膚科に通いましたが、すぐに見切りをつけて、当クリニックに来院されました。相当のストレスがあったのでしょう、実年齢よりも10歳以上は上に見えました。カプサイシンなどのサプリメントとセファランチン150mg/日で、IGF-1を増やす治療を開始すると、傷んだ毛の生え変わりが起きました。生え変わりは、黒い毛のみで、治療2ヵ月目までには、黒い毛が、ほぼ抜けましたが、白髪は抜けず、治療4ヵ月後には、白髪のみ残りました(写真)。さらに、治療を続けると、白髪が生えて、増えてきて(治療7ヵ月後)、治療8ヵ月後には、黒い毛が、生えてきました(写真)。重症の汎発性脱毛や全頭脱毛の患者さんでは、まず、白い産毛から生えてくることがあり、皆さん、白い産毛が黒くなるのかと心配されます。なぜ、この患者様のような経過をたどるのでしょうか?円形脱毛症の原因である、自己免疫の毛根での標的は、メラニン色素です。そのため、黒い毛の毛根が、免疫系で攻撃されますが、白髪の毛根は、攻撃を免れます。これが、毛の生え変わりで、黒い毛のみが抜けて、白髪が抜けない理由です。さらに、治療を続けて、IGF-1が増えていくと、メラニン色素を作る細胞がない毛根で、まず、毛が再生してきて、白い毛が、一斉に生えてきます。そして、さらに、自己免疫が抑制されると、メラニン色素に対する自己免疫も抑制されてくるので、黒い毛が生えてきて、最終的には、白髪も黒くなり、もとの頭髪の状態に戻ります。今、白い産毛だけ生えてきている患者さんも、このような過程を経て、最終的には、黒い毛を取り戻せます。自己免疫を抑制できるのは、IGF-1を増やす治療のみです。