2023-04-25
患者さんと頭部の写真を見て、前回の診察時よりも毛が増えて改善しているというと、患者さんは、”ただ毛が伸びただけではないですか?”と聞き返すことがあります。IGF-1を増やす治療では、毛が伸びている時には、同時に、抜け毛も減って、産毛も増えているのです。毛周期とは、毛の素になる毛芽(もうが)が出来て、産毛になり、毛が伸びる成長期を経て、毛の成長が停止する退行期になり、毛の生え変わりの準備期間である休止期となり、脱毛しますが、同時に、毛芽ができてまた、毛の一生が始まるという一連の過程を示しています(図)。IGF-1は、毛を作る装置である毛乳頭という組織で作られ、成長期を延長して、退行期と休止期を短縮して、毛芽の発生を促進します(図)。すなわち、IGF-1が増えると抜け毛が減って、毛も長くなり、寿命が尽きた毛が早く抜ける代わりに、産毛も早く生えてきます(毛の生え変わりの促進)。男性型脱毛症(AGA)では、体内で作られる男性ホルモンに由来するDHTが、IGF-1を減らします。また、女性型脱毛症では、女性ホルモンの作用が落ちるために、IGF-1が減ります。円形脱毛症では、自己免疫による毛根の慢性炎症による血管の傷害で、IGF-1が減ります。そのために、これらの脱毛症では、程度の差こそあれ、成長期が短縮し、退行期と休止期が延長し、毛芽ができにくくなります。すなわち、抜け毛が増えて、毛が伸びる速度も低下し、産毛が生えてこない状態が脱毛症です。事実、長期の円形脱毛症の罹患では、脱毛斑もできますが、抜けていない毛も伸びなくなります。また、髪の毛も細くなり、こしがなくなります。爪も同じように、IGF-1によって成長しますので、円形脱毛症で、IGF-1が減ると、爪の伸びが遅くなり、爪の変形も出てきます。IGF-1を増やす治療で、髪の毛の伸びる速さが増す時には(すなわち、毛が良く伸びている時)、同時に、抜け毛が減って、産毛が増えているのです。毛が伸びている時は、安心して下さい、生えていますから!(図)