2023-02-08
40代の汎発性脱毛の男性患者さんは、円形脱毛症の家族歴はもっていませんでしたが、職場の強いストレスとかゆみ止めの市販の目薬を使用し、とどめは脱毛作用の強いパタノール点眼液とムヒを使用して円形脱毛症を発症しました。皮膚科治療で治らず、当クリニックに来院されました。来院時は、全身の毛が抜ける最重症型の汎発性脱毛でした。体温は36.3℃と低く、頭皮や顔の肌の色は、どす黒く、末梢の循環の悪さと肌のくすみが強い状態でした(写真、治療前)。低体温(36.6℃未満)があると、IGF-1を増やす治療でも、なかなか産毛が生えてきません。低体温の人では、体温を感じる知覚神経の働きが悪いので、体温調節の機構がうまく作動しないために体温が上がらず、同時に、IGF-1も増えにくい状態でもあるからです。この患者さんは、治療を続けていくと、産毛はなかなか生えてきませんでしたが、体温は徐々に上がり始め、頭皮の色も、くすみが取れて明るくなってきました(写真)。そして、治療13ヵ月後には、36.9℃とこれまでの最高体温が記録されました(写真)。この時に、いつも一緒に来られるお母様が、治療を始める前は、普通の熱さのお風呂に、熱がって入れず、患者さんの入ったあとのお風呂は、水風呂の様だったと言われました。しかし、最近は、熱いお風呂に入れるようになり、以前とは逆に、患者さんが入った後のお風呂には、熱くて入れなくなったと、驚かれていました。体温が低いことも、お風呂を熱く感じる原因ですが、おそらく手や足の末梢の循環も悪いために、手足の冷えが強かったのでしょう。そして、体温が上がってきて、やっと白い産毛が生えてきました(写真)。体温が正常で、脱毛症が改善していても、強いストレスにさらされると、体温が下がって脱毛します。温度を感じる知覚神経は、副交感神経に属しており、ストレスによる交感神経緊張により、副交感神経の働きが悪くなるので、体温が下がり、IGF-1も減って脱毛するのです。低体温は、発熱よりも怖い状態です。冷えは万病のもとという言葉も理解できます。時々は、体温を測って、副交感神経の働きが正常かどうかを調べましょう。勿論、体を温めることも、知覚神経の働きを高めることになるので、IGF-1を増やす上では重要です。