2022-06-17
50代の男性患者様は、整形外科で出された湿布と痛み止めの内服で、円形脱毛症を発症しました。皮膚科治療で治らず、当クリニックに来院され、カプサイシンとイソフラボンなどのサプリメントやセファランチンの大量(80mg/日)で改善しました。しかし、治療を中断されて悪化しました(当たり前ですが)。治療再開後、セファランチン80mg/日では改善せず、150mg/日で、徐々に改善しましたが、再発前の治療のようには効果がでませんでした。再発すると、再発前よりも、円形脱毛症は、より難治になります。そこで、ウルソを併用すると、その3ヵ月後には、明らかな改善が見られました(写真)。ウルソは、内服すると、肝臓から胆汁に排泄され、小腸に排泄され、知覚神経を刺激して、IGF-1を増やします。そして、この薬の特徴として、そのまま便中に排泄されるのではなく、小腸から再び、体内に再吸収され、肝臓を経て胆汁中に再度排泄されるという動態を繰り返します(腸肝循環)。すなわち、何度も小腸の知覚神経を刺激するので、作用効果が長くつづき、併用効果が高いのでしょう。ウルソは、本来の脂肪の消化吸収を助ける作用に加えて、IGF-1を増やす作用で、自己免疫疾患である円形脱毛症や自己免疫性肝炎も改善します。副作用もなく、良い薬です。ただし、ウルソの併用効果も、カプサイシンとイソフラボン、セファランチンによる知覚神経刺激が土台になっています。