2022-01-04
薄毛治療には、いろいろな方法があります。ネットのバナー広告にも、怪しげな円形脱毛症専用の育毛剤などが頻繁に出てきます。このメーカーに、治療効果のデータあるかと聞いたところ、ないということでした。ネットの広告がすべてだそうです(笑)。皮膚科のステロイドの塗り薬やかぶれ治療など、頭皮だけをいじる治療も、前者では治療効果はなく、後者でも、多少の改善はみられるものの、根治性はありません。脱毛症のタイプは違っても、共通する原因は、IGF-1の低下です。男性型脱毛症(AGA)では、男性ホルモンに由来するジヒドロテストステロン、女性型脱毛症では、女性ホルモンの減少、そして円形脱毛症では、異常な自己免疫による血管の傷害が、IGF-1を減らします。このように、薄毛が起こる背景には、IGF-1を減らす原因が存在し、この減少は、毛根だけにとどまらず、全身で起こるので、AGAでは、心筋梗塞、糖尿病、また、前立腺肥大や前立腺がん、女性型脱毛症では、更年期障害、そして円形脱毛症では、他の自己免疫疾患などに対するリスクが上がります。このように、薄毛は、全身のIGF-1低下の部分症に過ぎないのです。薄毛を目に見えるもの、すなわち”色”に、そしてIGF-1を減らす背景を、目に見えないもの、すなわち”空”に置き換えると、薄毛治療の本質は、般若心経で説くところの”色即是空 空即是色”になります。すなわち、”空”を制して、”色”を無くすことが、薄毛に限らず、病気の治療の本質です。このような本質的な治療なしでのウイッグの着用や増毛、頭皮だけをいじる治療は、”色”を隠しますが、消しませんので、本当の治療にはなっていないのです(図)。IGF-1を増やす治療で、脱毛症(色)のみならず、全身の不調が改善するのは、”空”も消えていくからです。AGA発症における遺伝、女性型脱毛症発症における加齢、そして円形脱毛症発症における体質など、これらを無くすことはできませんが、これらに伴うIGF-1の低下を抑制することが、根本的な脱毛症治療となります。このような治療は、残念ながら、世界中で当クリニックしか行っていないのが現状です。