2021-12-10
関西地方在住の40代の女性患者様は、脱毛する胃薬タケキャブで円形脱毛症を発症しました。皮膚科では、治療を断られて、途方に暮れていました。関西地方では、円形脱毛症を治せる医療機関を見つけられなかったので、当クリニックに来院されました。円形脱毛症発症後も、ロキソニンSを飲んだり、ムヒなどを使い続けていたために、IGF-1を増やす治療で、毛の生え変わりが起きて、大量の傷んだ毛が抜けて、全頭脱毛からの治療となりました(写真)。そして、徐々に産毛が生え始め、治療1年5ヵ月後には、明らかな改善が見られました(写真)。当クリニックに来院したとき、”治ります”と言われたことが印象的だったようで、それで、かなり不安がなくなり、心強かったとのことでした。皮膚科でたらいまわしにされて、かなりの治療不信と大きな不安にさいなまれていたようです。しかし、”治ります”の言葉通り、改善が続く中、完治まで頑張ります、と強い決意も述べられていました。多発型円形脱毛症を治せないので、皮膚科医が診療を嫌がっての対応は、いつも問題になりますが、数軒の皮膚科でたらいまわしにされたことは、耐えられない仕打ちだったのでしょう。治ると思って治療すると、そうでない場合に比べて、治りやすく、それだけで、プラセボ効果になります。診療予約を無断でキャンセルする患者さんもいますが、このような患者さんは、治る気もないわけで、治療しても治りにくくなります(ノセボ効果)。治療では、患者さんの気持ちの持ちようは非常に大事で、皮膚科医の対応は、その治療でも治らないことに加えて、治りにくくするノセボ効果を与えていることになります。