2025-12-17
30代の男性患者さんは、円形脱毛症を発症しては、自然治癒を繰り返していました。しかし、当クリニックに来院する2ヵ月前に発症した原因不明の円形脱毛症は、治りませんでした。皮膚科には行かずに当クリニックに直行されました(正解です)。来院時、髪の毛は残っていましたが、眉毛まで抜け始め、汎発性脱毛へ移行する状態でした(写真)。IGF-1を増やす治療を開始すると、1ヵ月後には、それまでにあった傷んだ毛が抜けて、2か月後には、もう、新しい産毛が一斉に生えてきました(写真)。思わぬ改善に、来院時は、鬱々とされ、不安そうな患者さんでしたが、思わず笑顔になられました。外見を気にして、ウイッグを早くから準備されましたが、使う期間は、ちょびっとになりそうです。IGF-1は、自己免疫を抑制するとともに、毛髪サイクルを早く回す作用をもっているので、寿命が終わろうとしている傷んだ毛は早く抜けさせ(休止期の短縮)、また、毛髪の幹細胞からの毛芽を増やし、産毛への成長を早め(成長期の延長)、産毛を増やしてきます。見方を変えれば、治療により、一旦脱毛症が悪化して、その後に、速やかに改善しているようにも見えます。この一旦悪化する現象は、漢方治療で、病気が治る前の一過性の悪化、すなわち好転反応と呼ばれます。保険診療で、対症療法のみに明け暮れているお医者さんは、好転反応を経験することがない(できない)ので、好転反応などはないと言い切ります。ただ、それはそのお医者さんが経験してないだけで、さらに言えば、病気を根治する治療を行っていないから、好転反応を経験しないのいのです。その話はさておいて、このペースでいけば、汎発性脱毛は、早く治癒するでしょう。多くの患者さんで、過去に、円形脱毛症の自然治癒を経験しているヒトでは、治療に対する反応は良いようです。