2025-11-21
関東地方在住の40代の女性患者さんは、薄毛が気になり、その辺りのAGAクリニックを受診しました。AGAクリニックとは、よく駅前などにある、ありふれた男性型脱毛症(AGA)を治療するところです。ミノキシジルとスピロノラクトンという、わけのわからない薬を出されましたが、治らず、当クリニックを受診されました。女性型脱毛症のような外見なので、カプサイシン、イソフラボン、そしてタキシフォリンで治療を開始しましたが、眉毛も抜けたことがあるとのことで、自己免疫も脱毛に関与している可能性を考慮し、セファランチンを併用しました。その1ヵ月後に、左手の指の関節の腫れが無くなりました。これは、更年期に起こる変形性関節炎の一つであるヘパーデン結節と思われます。難病です。女性ホルモンの代役であるIGF-1が増えて、関節の炎症が軽減されたのでしょう。そして、治療1年6ヵ月後には、発熱(37℃台)、関節痛、上眼瞼の紅斑(ヘリオトロープ紅斑)、抗核抗体陽性などの所見が表われ、皮膚筋炎が疑われました。セファランチンをさらに、増量すると、その2日後に解熱、1ヵ月後には、すべての症状が無くなりました(図)。皮膚筋炎は、自己免疫疾患である膠原病のひとつで、難病です。そして、頭皮の地肌も隠れて、脱毛症も改善しました(写真、赤い円内)。この女性患者さんは、自己免疫疾患の体質があり、女性型脱毛症で発症しましたが、IGF-1を低下させるフェキソフェナジンを飲んで、抜け毛が増え、それまでに眠っていた膠原病が表にでてきたと考えられます。いずれも、IGF-1を増やすことで、治りました。この患者さん、上眼瞼に膠原病で紅斑が出たのですが、眼科に行くと、ステロイドを塗りなさいと言われたそうです(これは、アカン!)。IGF-1を増やせば、難病が治ります。