2025-05-07
1日の寒暖差が10℃以上になる初夏は、自律神経系では、交感神経優位の状態となり、IGF-1を増やす上で重要な副交感神経の働きが弱まり、一過性にIGF-1が低下します。40代の女性は、多発型円形脱毛症を発症し、皮膚科治療で治らず、当クリニックに来院されました。IGF-1を増やす治療で、治療1年3ヵ月後には、明らかな改善がみられました。しかし、治療1年4ヵ月後の6月に右の耳の後方に新たな脱毛斑が発現しました(写真、青い円内)。これは、前述の理由による、初夏の再発です。蛇行性脱毛になりかけていた左側頭部では、明らかな改善が見られていましたが(写真)、右耳の後方に部分的な再発が見られました。このように、順調にIGF-1が増加していても、気候変動による環境変化により、IGF-1が低下することがあります。そして、再発しやすい部位は、もともと難治な、両耳の後上方とうなじの部分です。対策は、まず、睡眠時間を十分にとること、サプリメントやセファランチンの飲み忘れを無くすこと、そして、高カカオチョコレートを習慣的に食べることです。最近は、カプサイシンを10錠/日以上飲まれる患者さんが多いので、初夏の悪化は少なくなりましたが、カプサイシンを大量飲んでいても、もともと重症な汎発性脱毛の患者さんでは、初夏に悪化することがあります。この季節、特に飲み忘れと睡眠不足には、無くしましょう。