2024-11-20
60代の男性患者さんは、脱毛する目薬で円形脱毛症を発症しましたが、目薬を止めて、IGF-1を増やす治療で、明らかに改善していました。しかし、気温が下がってきて、体の痒みが強いので、脱毛しないかゆみ止めはないかとのお問い合わせがありました。多くのお医者さんは、寒くなると皮膚の乾燥でかゆくなると言って、保湿剤を出すでしょう。しかし、保湿剤で、かゆみは治まりません。冬季の痒みは、乾燥ではなくて、皮脂が増えるからと考えられます。寒くなると、鳥肌が立つのは、毛穴から、皮脂を押し出すためです。押し出された皮脂は、皮膚の表面を覆い、汗の蒸発を防ぎ、気化熱が奪われることによる皮膚表面の温度低下を防ぎます。しかし、皮脂は、酸化されると知覚神経を刺激する作用を発揮します。これは、IGF-1を増やして、さらに皮脂を作らせるシグナルです。かゆみが強くなると、多くの人は、石鹸やボディーシャンプーで、体を洗って、清潔に(?)保とうとします。皮脂は汚れではなくて、皮膚を守る作用を持った物質です。そして、石鹸やボディーシャンプーに含まれる界面活性剤で、皮脂が除去されると、皮膚は、さらに皮脂を多く作るようになり、かゆみは増します。かゆみ対策は、石鹸やボディーシャンプーの使用を中止して、お湯だけで体を洗うことです。誰が言い出したかは知りませんが、皮脂が毛穴のよごれで、抜け毛の原因になるという作り話の印象から、皮脂が汚れとみなされます。皮脂は、育毛にも重要で、だからこそ、シャンプーすると、皮脂が除去され、IGF-1が減少し、毛が抜けるのです。この患者さんの場合、IGF-1を増やすために、知覚神経を刺激する治療をしているので、知覚神経が敏感になっていることも、かゆみが強くなる原因です。