2024-11-18
男性型脱毛症は、男性ホルモンから変化したDHTという作用の強い男性ホルモンに対する感受性の高い人で発症します。感受性の高さは、母方の祖父からの遺伝します。当然、男性ホルモンによって起こってくる病気ですから、前立腺肥大や前立腺がんの発症リスクが高まります。また、DHTがIGF-1を下げるので、糖尿病や、その結果起こる、心筋梗塞のリスクも高くなることも知られています(図)。当クリニックの男性型脱毛症の患者さんでも、前立腺がん2名、心筋梗塞1名、の発症があり、いずれも難治の患者さんでした。また、最近では、新型コロナ感染が悪化しやすいことも報告されています。IGF-1を増やす治療は、脱毛症以外にも、これらの病気のリスクを下げますが、難治の脱毛症の患者さんでは、リスクが下がらない人もいます。また、女性型脱毛症や重症円形脱毛症では、それぞれ、更年期障害や自己免疫疾患のリスクが上がります(図)。いずれも、IGF-1を増やす治療で、脱毛症が改善されれば、関連する病気のリスクも下がることになります。薄毛が、外見的に平気の人もいますが、実は、薄毛は外見だけの問題ではなく、体内の問題でもあるのです。サプリメントとセファランチンなどの飲み忘れは、脱毛以外にも、いろいろな病気のリスクを高めます。規定量の服用は、健やかな毛髪と体を取り戻すうえで、重要です。