2024-09-02
30代の男性患者さんは、男性型脱毛症(AGA)の治療で、当クリニックに通院していました。しばらく、受診がなかったのですが、急に眉毛が抜けて、ひげが生えなくなったという訴えで、来院されました。勿論、AGAも悪化していました。話を聞くと、精神の不調があり、精神科を受診して、ミアンセリン(商品名:テトラミド)(抗うつ剤)、トラゾドン(商品名:レスリン)(抗うつ済)、クロナゼピン(商品名:ランドセン)(抗うつ剤)、ヒベルナ(抗ヒスタミン剤)、フルニトラゼパム(商品名:サイレース)(鎮静剤、睡眠導入剤)、ベンザリン(睡眠導入剤)、そしてオランゼピン(商品名:ジブレキサ)(抗精神病薬)が処方されていました。驚いたことに、これらの薬には、すべてIGF-1を減らす、抗コリン作用がありました。これらの薬は、知覚神経を含めて、神経系のアセチルコリンの受容体(M3受容体)とアセチルコリンの結合を阻害します。ヒベルナは、M1受容体を阻害します。抗精神薬や抗うつ剤、睡眠導入剤には、ほとんど抗コリン作用を持っており、IGF-1を減らします。IGF-1は、抗うつ作用を持っているので、不安という症状を改善するために出された薬で、IGF-1が減って、かえってうつ症状は、悪化します。勿論、脱毛も起こってきます。心療内科の治療で、うつ病が治らない理由がよくわかります。これらのくすりの長期投与で、IGF-1が減り続けると、他にも思わぬ不調が出てくるでしょう。これらのくすりで、脱毛をはじめとする副作用ばかりでで、うつ病は、治らないのですから、心療内科には行かないようにしましょう。