2024-08-24
髪の毛は、古くから血余と呼ばれており、体の中の血液の状態、つまり健康状態を反映します。すなわち、脱毛症は、体内のIGF-1が減った状態なので、単なる外見上の薄毛だけの問題ではなく、健康状態も良くない、言い換えれば、病気の準備状態ともいえます。男性型脱毛症では、男性ホルモン(DHT)への知覚神経や前立腺細胞の感受性が高い状態なので、薄毛以外に、前立腺の細胞も増殖しやすい状態になります。DHTができるのを抑えるアボルブなどの薬と、カプサイシンとイソフラボンなどのサプリメントで、IGF-1を増やす治療を行うと、薄毛も改善し、前立腺細胞の増殖を抑えて、免疫力を高めるので、前立腺肥大や前立腺がんのリスクを下げます。女性型脱毛症では、女性ホルモンの減少に伴い、IGF-1が減って、薄毛になりますが、一方では、免疫力も下がり、女性ホルモンの減少を補うべく、脂肪組織で女性ホルモンが作られて、さらに肥満もあれば、インスリン分泌の増加も伴い、乳がんが起こりやすい状況になります。円形脱毛症などの自己免疫疾患では、自己免疫で、IGF-1を増やす上で重要な、血管が傷害されるので、IGF-1が低下して、円形脱毛症が発症しますが、同時に、他の自己免疫疾患も起こりやすくなります。このような状態で、IGF-1を増やす治療を行うと、薄毛以外に、前述の、それぞれの脱毛症に伴う病気のリスクも下げることになるのです(図)。IGF-1を増やす治療で、脱毛症が改善している患者さんでは、薄毛の改善のみならず、将来の病気のリスクも下がっていることになります。