2024-05-10
50代の女性患者さんは、昨年の12月から、明色の美顔水を使用して、1ヵ月で薄毛になりました。原因がわからず、これに含まれるサリチル酸が脱毛の原因ではないかと考えられて、ネットで検索されたそうです。当クリニックでは、これまでに、サリチル酸を含むウオノメバン(阿蘇製薬)、また、サリチル酸メチルを含むトクホンやうすビタしっぷなどで、脱毛が経験されており、HPのお知らせで、患者さんに注意を呼び掛けていました。このお知らせを読まれて、この患者さんは、サリチル酸脱毛に違いないと、遠路来院されました。写真にあるように、女性型脱毛症が悪化した状態でした。早速、明色に副作用報告をすると、電話対応の女性から、頭に塗られたのですかと聞かれました。美顔水は、文字通り、顔に塗るものでしょうに。ウオノメバンを作っている阿蘇製薬の担当者と同じく、サリチル酸が、皮膚から吸収されるとは知りませんでした。薬理学のバイブルであるグッドマン&ギルマンの薬理学の教科書には、サリチル酸を広範囲に塗布すると、皮膚から吸収されて、サリチル酸中毒起こすと記載がありまーす。体内に入ったサリチル酸は、ロキソニンなどと同じく、プロスタグランジンの産生を減らし、その結果、IGF-1 を減らしてしまいます。美顔を目指して薄毛になってはたまりません。IGF-1 を増やす治療を開始しました。化粧品でも、成分には注意しましょう。