2023-12-01
50代の男性型脱毛症の患者さんは、当クリニックの院長の治療を10年以上前に受けておられました。その後、デザレックスなどの脱毛薬を飲んで、薄毛は悪化し、再度、当クリニックでIGF-1を増やす治療を受けることになりました。治療1ヵ月後には、脱毛薬で傷んだ毛が生え変わるための抜け毛はありましたが、毛全体は太くなり、頭頂部の地肌の露出は減ってきました(写真、赤い円内)。そして、夜間の排尿回数は、治療前は5,6回だったのが、この1ヵ月では、2,3回に減ったと言われました。夜間は、ホルモンの作用で、尿ができにくい状態になるので、排尿回数は減ってきます。しかし、睡眠が浅いと、少量の尿がたまった際の尿意も感じてしまい、排尿のために起床することになります。IGF-1が増えると、睡眠が深くなるので、弱い尿意があっても目が覚めにくくなり、頻尿が改善します。逆に言えば、夜間頻尿がある時は、眠りが浅く、排尿のために眠りは、さらに浅くなり、交感神経緊張状態となり、IGF-1が減って、血圧は上がり、薄毛はさらに悪化します。事実、この患者さんは、高血圧もあり、今回から、IGF-1を増やすアゼルニジピンという降圧剤を服用してもらうことになりました。多くの内科医は、降圧剤として、アムロジピンというIGF-1を減らし、脱毛する薬を出します。その結果、血管は開いて血圧は下がりますが、IGF-1が減るので、脱毛や糖尿病の悪化、さらに夜間頻尿をも悪化させます。この患者さんにも、このようなことをお伝えすると、他のお医者さんは、このようなことを知らないのですかと、不思議がられていました。”はい、知りません”とお答えしました。