2022-07-16
関西地方在住の50代の男性患者さんは、汎発性脱毛に対してIGF-1を増やす治療を受けいました。全体に白い産毛が生えてきました。ところが、1ヵ月分のサプリメントとセファランチンを処方してから、2ヵ月経って、再診されました。この時に、サプリメントとセファランチンが切れてから、熱中症のような症状が出るようになったと言われました。熱中症に対処する体の中枢は、体温調節中枢である視床下部という組織です。視床下部は、その部分を流れる血液の温度と末梢の知覚神経からの皮膚温を察知して、高くなると、汗腺を刺激して発汗を、そして体温を放散するために血管を拡張させ、さらに筋肉が熱を作らないように、筋肉を弛緩させます。カプサイシンとイソフラボン、そしてセファランチンは、知覚神経を刺激してIGF-1を増やしますが、実は、増えたIGF-1にも知覚神経を刺激する作用があるのです。これらの結果、知覚神経の皮膚温のセンサーとしての機能が良くなり、体温上昇を敏感に察知して、その情報が視床下部に伝わりやすくなり、発汗、血管拡張、筋肉の弛緩が引き起こされ、体温が正常に維持されます。これが、知覚神経刺激による熱中症予防機序です。勿論、発汗を十分起こすための十分な水分摂取も重要です。IGF-1が増えると、脱毛症改善以外にもいろいろなメリットが得られます。